T&M通信
2013.08.09
T&M通信 8月号
暑中お見舞い申し上げます
● 今月の経営チェックポイント
□ 個人事業税の第1期分の納付は9月2日迄です。
□ 個人住民税普通徴収税額第2期分の納付は9月2日迄です。
□ 8月,9月決算法人の方は賞与等決算の対策の準備をして下さい。
□ 8月15(木)~16(金)当事務所はお盆休みさせて頂きます。
● 着眼点 消費税増税がもたらすもの 税理士 田中 彰
現在5%の消費税率が、平成26年4月から8%、平成27年10月から10%に引き上げる事が予定されています。8%について安部首相は今秋の景気動向をみて決定するとの事で少し流動的です。
ご存知のように消費税は、税金を負担する者と税金を納付する者(納税義務者)が違う間接税の一つです。個人でも法人でも事業者は、納税義務者であると共に仕入れや経費の支払い時には消費税の負担者でもあります。しかし、仕入れ等に係る消費税は最終的には商品やサービスを売る時に消費者に転嫁され、消費税率が上がっても利益には影響しないというのが理屈です。消費税は最終的には、納税義務者でない消費者が負担することになります。
ところが、消費税率が上がることにより売り先に対する請求額は増えるわけですから経営上の事情によりそれが出来ず、納税義務者である事業者が消費税の増額分を自分で負担するようなことになれば(専門的には消費税の直接税化といわれるものです)利益が削られることになります。
消費税率アップについて、もう少し別の問題もあります。消費税は「事業者が国内において行う商品販売やサービスの提供に課税される」ものですが、中には政策上の理由等により非課税とされている取引があります。社会保険診療や居住用家賃などです。非課税収入に係る仕入れ等の消費税は還付が出来ないので、消費税率がアップするとその分事業者の利益が削られます。例えば、お医者さんは薬の仕入れや診療所の設備等に係る消費税は増えるのに、社会保険診療費は上げられないとなれば、所得が減ることになります。この問題に対応すべく、前回の消費税率アップ(3%から5%)には医療費点数が改訂された経緯があります。ただし、居住用家賃はそういう訳にはいかないので個別に対応しなければなりません。
一方、輸出は非課税ではなく0%課税(輸出免税)とされ、国内において仕入れた物品やサービスに係る消費税は還付されます。消費税が輸出事業者に対する補助金であると言われる所以です。輸出事業者にとっては消費税率が上がってもその分消費税が申告により国から還付されるので経営に影響は受けないと考えられます。経団連が消費税率アップに賛成である本音はこの為であるという見方もあります。
結局、消費税率が上がると便乗値上げを含め、一番影響を受けるのは小規模事業者や給与所得や年金所得で生活をする者であり、給料が上がらないと自由に使えるお金が減る事を覚悟しなければなりません。私たち国民は納税の義務がある一方、税金のあり方や使い方を監視する権利があります。是非皆さんの視点を大切にしてください。
● 小額上場株式等に係る非課税措置(日本版ISA)について
平成25年度の税制改正により、小額投資非課税制度(NISA)が設けられました。
小額投資非課税制度とは、平成26年1月から金融機関(銀行、証券会社等)において、小額投資非課 税口座(NISA口座)を開設し、その口座で購入した上場株式や株式投資信託等から得られる配当金、分配金、譲渡所得等の収益が、非課税となる制度です。(本来の税制では20%の税率で課税されるものです。)
小額投資非課税口座(NISA口座)を開設するには、「非課税適用確認申請書」等を金融機関に提出し、その金融機関は税務署に申請をし、税務署では非課税口座の二重開設がないことを確認の上、金融機関等を通して「非課税適用確認書」を交付します。その後に小額投資非課税口座(NISA口座)が開設できます。(口座開設は日本国内に居住の20歳以上の方に限ります。)小額投資非課税口座(NISA口座)で購入できる非課税限度額は一人につき1年間100万円です。非課税口座を開設できる期間は、平成26年1月1日から平成35年12月31日までの10年間です。
(文責 田中 恵子)
● 中小企業退職金共済制度について
中小企業退職金共済制度は、中小企業で働く従業員の福祉の増進等を目的として単独では退職金制度 を設けることが困難な中小企業者(常用労働者数が一般業種300人、卸売業100人、サービス業100人、小売業50人以下、又は資本金等が一般業種3億円、卸売業1億円、サービス業、小売業5,000万円以下)を対象に昭和34年に国の中小企業対策の一環として設けられた制度です。
事業主が独立行政法人勤労者退職金共済機構(中退共)と雇用する従業員を対象に契約をし、退職金のための掛金を中退共へ納付します。加入させる従業員は原則として常用労働者は全員加入とされていますが一定の条件にあてはまる従業員は加入させなくてもよい事になっています。また事業主や小規模企業共済制度に加入している者は加入できない事になっています。
毎月の掛金は5,000円~30,000円までの16種類で従業員ごとに選択できます。(短時間労働者については、2,000円~4,000円の3種類も選択できます。)
新規加入助成の制度があり、新しく中退共制度に加入する事業主に対しては、加入後4ケ月目から1年間、掛金月額の1/2(従業員ごとに上限5,000円)を国が助成します。既加入の事業者については掛金月額の変更で、掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額する事業主に対して増額分の1/3を増額月から1年間国が助成します。
退職金の受給権者は退職をした従業員で、退職をした従業員が直接中退共へ請求し退職金を受け取る事になります。なお掛金の納付が1年未満の場合は、退職金は支給されません。
(文責 田中 恵子)
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