ブログ
2017.11.17
有期労働契約 5年を超えると無期労働契約に?
「無期転換ルール」をご存知でしょうか。
例えば・・・
1年の契約で労働者を雇ったとして、「仕事にも慣れてくれて、勤務態度も良好!契約更新!」といった具合に契約を更新し続け、5年を超えると、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換できるというルールです。
今日は「無期転換ルール」と「その特例」についてのお話です。
無期転換ルールとは・・・
有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。(労働契約法第18条 平成25年4月1日施行)
平成25年施行の法律をもうすぐ平成30年を迎える今になってなぜ取り上げるのかといいますと・・・
この通算5年のカウントは施行日である平成25年4月1日以降に開始した有期雇用契約が対象。
「平成25年4月1日に有期雇用契約を結んだよ」という方がそろそろ通算5年を超える頃なんです。
そんなこんなで、平成30年4月以降、無期労働契約への転換申し込みが本格化する見込み。
有期雇用契約が5年を超えるすべての方が対象なので、「パートだから」「アルバイトだから」「派遣だから」といって断ることはできません。
5年を超える前に雇止めすればいいんじゃないの?
実際にこのような雇止めが進んでいます。これについて厚生労働省は下記のように記述しています。
無期転換ルールを避けることを目的として、無期転換申込権が発生する前に雇止めをすることは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいものではありません。また、有期契約の満了前に使用者が更新年限や更新回数の上限などを一方的に設けたとしても、 雇止めをすることは許されない場合もありますので、慎重な対応が必要です。
「逃げ道はあるが、リスクもある」といったところでしょうか。
雇止め法理の法定化
先に述べた「リスク」の部分です。
労働契約法第19条によって、ある一定の場合に雇止めを無効とすることが定められています。
<対象>
①過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
②労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて
合理的な理由があると認められるもの
<要件と効果>
上記の①②のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められません。従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されます。
要するに、
①過去に何度も更新されていて、無期労働契約と同一視できる
②労働者が更新を期待するのがもっともだと認められる
①②どちらかの場合で、その雇止めが客観的に合理的な理由がなく、普通に考えてダメでしょう!と思われるような場合は、
その雇止めは認められず、今までと同じ労働条件で有期労働契約を更新しないとダメ!というようなことです。
無期転換ルールの特例
このような無期転換ルールの特例を定めているのが平成26年法律第137号「有期雇用特別措置法」です。
ざっくり言うと「①高度専門職 ②継続雇用の高齢者 は認定を受ければ無期転換ルールが適用されません」という法律です。
<対象>
①「5年を超える一定に期間内に完了することが予定されている業務」に就く高度専門的知識等を有する有期雇用労働者
②定年後に有期契約で継続雇用される高齢者
<効果>
対象者について、下記の期間、無期転換申込権が発生しない。
①の高度専門職・・・一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限10年)
②の継続雇用の高齢者・・・定年後引き続き雇用されている期間
(長くなってしまうので、詳しい認定の要件等は後述のHPでご参照いただきたいと思います。)
この申請が全国的に増加していて、申請から認定を受けるまでには時間がかかるそうなので、気になられた方はご相談・申請はお早めに!
この「無期転換ルール」が本当に労働者保護につながっているかどうかは賛否両論あるところですが、
従業員の方に不満や不安を抱かせずに経営していくにはどういった方法をとるべきか、考える機会になれば幸いです。
参考
・厚生労働省「労働契約法改正のポイント」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/h240829-01.pdf
・厚生労働省「有期雇用特別措置法パンフレット」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000075676.pdf